金属組織学、金属の科学はソルビーによって確固たる基礎を与えられました。
そのことはこの会議でのパーシi会長の「ソルビー氏の研究は、鉄と鋼の機械的性質にかんするもっとも奥深い問題のいくつかに光を投じた」という評価で表現されました。
しかしフェライトとはなにか。
セメンタイトは?グラファイトは?パーライトは?それらはなぜそしてどのように凝固の過程で出現してくるのか?明確な理論が提供されねばならなかった。
もちろんソルビーは観察の記述だけで満足する人ではなかった。
その含意を熟考し、理論化を試みることに彼の研究の本領がありました。
パーライトの形成についても、彼はつぎのように理論化を試みています。
「この構造の形成の唯一の満足な説明はつぎのようなものでしょう。
すなわち高温で安定な鉄と炭素の混合物質が低温になると安定でなくなり、二つのもの(フェライトとセメンタイト……訳注)にわかれるのです。
私にはこの事実が鋼の焼入れ、焼戻しの効果を明らかにするものであるように思われます。
赤熱したロートアイアンを急冷すると、高温で安定な鉄と炭素の混合物が上述の二つにわかれる前に固化されてしまい、そのため軟かい鉄と硬い鉄の中聞の性質を保持し、硬さと強さを合わせもつ。
これを今度はいくらか加熱すると(焼戻し)、加熱の程度に応じて二つの成分がわかれ、徐冷したときと同じ構造を生じる」